PUNX SING 刑法学。

刑法学についてのもにゃもにゃした感触。

「違法性」の内容~「違法性の意識」についての補遺。

違法性の意識に関して、この場合の「違法性」の内容については、以下の記述が的確かつ簡潔にまとまっていますので、参考にしてください。

 

①「違法性の意識は、自分の行為が『法的に禁止されている』という認識だから、何をやっているかが認識されていない限りは問題としようがない。したがって、具体的な故意があることが前提であり、さらに規範に関する意識・知識があってこそ生じうるものといえる。」(山口厚刑法総論」p268)

 

②「また、違法性の意識の要件は、『法に従った動機付けの可能性』が欠如する場合には非難できず、非難としての刑罰を科すことができないとの理由に基礎付けられたもので、刑罰の付科による非難を可能とするために要求されるものである。そのため、違法性の意識とは、単に法的に禁止されていることの認識ではなく、刑法上禁止されていることの認識を意味することになる。」(山口厚刑法総論」p268)

 

上記、①+②=「違法性の意識あり」ということになります。

 

★例えば、民法上違法性のある行為(不法行為など)をすることは認識しているが、刑法上違法性のある行為であるとは認識していないというような場合があると思われますが、このような場合は、違法性の意識は認識していないことになります。

★このような場合、その行為を思いとどまるきっかけは与えられていたかもしれないが、直ちに刑法的非難が正当化されることにはならない。刑法的非難の対象(処罰の根拠となるもの)は、構成要件に該当し違法性阻却事由を具備しない可罰的違法行為である。そうであるとすれば、このような意味における可罰的違法行為であることの認識(可罰的刑法違反の認識)こそが違法性の認識だと考えなければならない。

(井田良「講義刑法学・総論」p412)

 

これで大丈夫だと思われます。

 

残すは、どのような場合に「違法性の意識の可能性すらない」と言えるか?という論点が残りますが、これは各基本書をあたってみてください。論者によって多少の温度差はありますが、まあどれも常識的な話になっています。

 

ということで、違法性の意識に関する補遺でした。

 

それではまたやって参りますので、その際もどうぞ宜しくお願い致します!